口腔機能発達不全症とは?「食べる・話す・呼吸する」を育てるために

「食べるのが遅くて、毎日の食事に時間がかかる」
「よく噛まずに飲み込んでいるように見える」
「舌を前に出す癖がある」
「発音が少し気になる」
「歯並びも気になるけれど、まだ矯正を始める年齢ではないのかな?」
お子さんのお口について、このような疑問や心配を感じたことはありませんか?
子どもの歯科というと、「むし歯を予防する」「歯並びをチェックする」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、それらも大切なことです。
しかし、子どもの成長を考えるとき、私たちが見ていきたいのは「歯」だけではありません。
食べる、飲み込む、話す、呼吸する。
こうした毎日の生活に欠かせない「お口の機能」が、年齢に応じてしっかり発達しているかどうかも、とても大切です。
今回は、子どもの口腔機能に関する「口腔機能発達不全症」について、症状や原因、ご家庭で確認していただきたいポイント、歯並びとの関係、そして、もりさき歯科クリニックが大切にしている考え方についてお話しします。
●口腔機能発達不全症とは?
「口腔機能発達不全症」とは、簡単にいうと、子どもの「食べる・話す・呼吸する」などのお口の機能が、年齢に応じて十分に発達していない状態です。
お口は、食事をするためだけの器官ではありません。
唇、舌、頬、顎などが協調して動くことで、
・食べ物を取り込む
・食べ物を噛む
・舌で食べ物をまとめる
・飲み込む
・言葉を発音する
・唇を閉じる
・鼻で呼吸する
といったさまざまな機能を担っています。
そして、これらの機能は子どもの成長とともに少しずつ発達していきます。
ところが、口呼吸や舌の癖、唇を閉じることが苦手、食べ方の癖などが続くことで、本来身につくはずのお口の使い方がうまく獲得できないことがあります。
その状態を早い段階で見つけ、必要に応じて適切なサポートを行うことが大切です。
●「いつも口が開いている」は見逃したくないサイン
お子さんがテレビを見ているときや、ぼーっとしているときに、口がぽかんと開いていませんか?
唇を閉じることなく、口で呼吸している様子はありませんか?
もちろん、一時的に口が開いているからといって、すぐに口腔機能発達不全症と判断するわけではありません。
しかし、
「普段から口が開いている」
「口呼吸が多い」
「寝ているときも口が開いている」
「いびきをかく」
などが続いている場合には、一度お口の状態を確認してみることをおすすめします。
口呼吸には、鼻炎やアレルギーなど、歯科以外の原因が関係している場合もあります。
そのため、「口を閉じなさい」と注意するだけではなく、なぜ口が開いているのか、その原因を考えることが大切です。
●こんな様子はありませんか?口腔機能チェック
お子さんの日常生活を少し思い出してみてください。
【食べ方】

□ 食事にとても時間がかかる
□ 反対に、ほとんど噛まずに食べてしまう
□ 食べ物を丸飲みすることが多い
□ 硬い食べ物を嫌がる
□ 柔らかいものばかり食べたがる
□ 食べ物を口からこぼすことが多い
□ 食事中にクチャクチャ音がする
□ 水分がないと食べ物を飲み込みにくい
【呼吸】

□ 普段から口が開いている
□ 口呼吸をしている
□ 鼻呼吸が苦手
□ 寝ているときに口が開いている
□ いびきをかく
【舌・唇】

□ 舌を前に出す癖がある
□ 舌を噛むことがある
□ 唇を噛む癖がある
□ 唇を閉じるのが苦手
□ 飲み込むときに舌が前に出る
【発音】
□ 発音が聞き取りにくい
□ 特定の音がうまく発音できない
□ 舌足らずな話し方が気になる
これらに当てはまるからといって、必ず口腔機能発達不全症というわけではありません。
子どもにはそれぞれ成長のスピードがあります。
だからこそ大切なのは、「できていない」と決めつけることではなく、その子の成長段階に合ったお口の発達を確認することです。
●口腔機能と歯並びには関係がある
「口腔機能と歯並びって関係あるの?」
そう思われる方も多いかもしれません。
実は、歯並びは歯だけで決まるものではありません。
歯の周りには、舌、唇、頬などがあります。
これらが日常的にどのように動いているか、どこに力がかかっているかということも、成長期のお口の環境に関係します。
例えば、
・いつも口が開いている
・舌の位置が低い
・舌を前に出す癖がある
・飲み込むときに舌で前歯を押している
・唇をうまく閉じられない
といった状態が長く続くと、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。
ただし、ここで大切なのは・・・
「口腔機能発達不全症を治療すれば歯並びが必ずきれいになる」
という単純な話ではないということです。
歯並びには、遺伝的な要素、顎の大きさ、歯の大きさ、成長の仕方など、さまざまな要因があります。
だからこそ、もりさき歯科クリニックでは、歯並びだけを見て「すぐに矯正しましょう」と考えるのではなく・・・
「なぜ今、この歯並びになっているのか?」
「お口の使い方に気になるところはないか?」
「これからの成長でどう変化していく可能性があるのか?」
というところまで一緒に見ていくことを大切にしています。
●もりさき歯科クリニックが大切にしている「早く治すより、早く知る」
子どもの歯並びについて、私たちが大切にしている考え方があります。
それは・・・
「歯並びは早く治すより、早く知る」
ということです。
「子どもの歯並びが気になるけれど、矯正を始めるほどなのかな?」
「まだ乳歯だから、何もしなくていいのかな?」
そんなふうに悩まれる保護者の方は少なくありません。
しかし、歯並びは成長によって変化していきます。
そのため、早い段階でお口の状態を知っておくことには大きな意味があります。
今すぐ治療を始める必要があるのか。
しばらく成長を見ていくのがよいのか。
口呼吸や舌の癖など、先に見直したほうがよいことがあるのか。
こうしたことを知っておけば、その後の成長を見守りながら、必要なタイミングで対応することができます。
早く矯正を始めることが目的なのではなく、早くお子さんのお口の状態を知ること。
これが、私たちが大切にしている考え方です。
●ご家庭でできる口腔機能のサポート
口腔機能は、歯科医院に来たときだけ使うものではありません。
毎日の食事や会話、呼吸の中で使われています。
そのため、ご家庭でのちょっとした環境づくりも大切です。
① 食事中の姿勢を確認する
食事をするときに足がぶらぶらしていると、身体が安定しにくくなります。
できるだけ足が床や足置きにつくようにして、身体を安定させて食事ができる環境を整えてみましょう。
② よく噛める食事を意識する
「硬いものを食べればいい」ということではありません。
年齢や発達に合わせて、食材の大きさや硬さを調整し、無理なく噛む経験を増やしていくことが大切です。
③ 口が開いていないか観察する
テレビを見ているとき、遊んでいるときなどに、口がぽかんと開いていないか確認してみましょう。
もし口呼吸が続いている場合には、鼻づまりなどの原因がないかを確認することも大切です。
④ できたことを褒める
「口を閉じて!」「ちゃんと噛んで!」と何度も注意するよりも、できたときに「上手に噛めたね」「お口を閉じて食べられたね」と声をかけてあげることも大切です。
お子さんが「食べること」「話すこと」を楽しいと感じられる環境を作ってあげましょう。
●口腔機能発達不全症は「気づくこと」から始まります
口腔機能発達不全症は、むし歯のように目で見てすぐに分かるものではありません。
だからこそ、
「食べるのが遅い」
「よく噛まない」
「口が開いている」
「口呼吸をしている」
「舌の癖がある」
「発音が気になる」
といった、日常生活の小さな変化に気づくことが大切です。
そして、気になることがあれば、一人で悩まず歯科医院に相談してみてください。
すぐに治療が必要なのか。
経過を見ていけばよいのか。
生活習慣を少し変えてみるのがよいのか。
必要なサポートは、お子さんによって異なります。
だからこそ、まずはお口の状態を知ることから始めましょう
●「今のお口」から「これからのお口」へ
子どもの歯科診療で大切なのは、むし歯や歯並びだけではありません。
・食べる
・飲み込む
・話す
・呼吸する
こうしたお口の機能が、成長に合わせてしっかり育っているかを見ることも大切です。
口腔機能発達不全症は、早い段階で気づき、必要に応じて適切なサポートを行うことが重要です。
そして、歯並びについても、「早く治す」より「早く知る」。
気になったら、まず相談してみる。
それだけでも、お子さんのお口の成長を見守る大切な一歩になります。
もりさき歯科クリニックでは、歯並びだけではなく、口腔習癖、口呼吸、舌や唇の使い方、食べ方、顎の成長、噛み合わせなど、お子さんのお口全体を見ながら成長をサポートしています。
今のお口だけでなく、これから成長していくお口を一緒に見守る。
それが、私たちが大切にしている小児歯科診療です。
「これって普通なのかな?」
「少し気になるけれど、歯医者さんに相談していいのかな?」
そんな小さな疑問でも構いません。
お子さんのお口について気になることがありましたら、ぜひ一度、もりさき歯科クリニックにご相談ください!!

